タワーマンションのような巨大建築物を建てることには懐疑的だ。30年以内に発生する可能性が高いとされる首都直下地震を考慮すると、タワーマンションのような巨大建築は、倒壊の危険性だけでなく、被災後の修繕費が巨額になる恐れがある。建設時は良くとも、将来の維持・建て替え・解体費用が将来世代にとって多大な負担となることは明白である。また、建て替えを焦るあまり、どこにでもあるような建物を建てては他地域との差別化が図れない。プロジェクションマッピングや展望台といった案は、隣接する新宿(都庁)で既に実施されている。新宿と同じことをするのではなく、中野独自の価値を追求すべきだ。集客を考えるなら近隣区との差別化は必須であり、中野区にとって重要な場所だからこそ、判断には慎重さが求められる。かと言って慎重になりすぎて、廃墟のように放置することが良いことだとも思わない。まずは中野サンプラザを再整備して活用し、時間をかけて「次に中野サンプラザの跡地をどうするか」をじっくりと検討していくべきだ。
中野サンプラザについて、今後解体して新しいものを建てるか、あるいは解体せずに改修して残すか。多様な意見が存在し、そこが争点になりがちだ。しかし、それと同等に重要なのはその後の「運営」である。
例えば、天下り先のような一部の人間が利益を得るための運営であってはならない。政治資金パーティー券の購入や企業献金を受けるような人物が運営を主導すれば、区民のためではなく企業主体の運営に陥ってしまう。「誰が運営しても同じだろう」と考えるのは大きな誤りだ。中野サンプラザは区民のための施設であり、その運営もまた、区民第一であるべきだ。
中野サンプラザが、なぜ老朽化していると言われ始めたか
そもそも、なぜ中野サンプラザが「老朽化している」と言われ始めたのか。一般的に公共施設の寿命の目安は「完成後50年」とされている。この50年という数字の根拠は財務省令で設定された「減価償却の耐用年数」に由来するものだ。減価償却資産の耐用年数等に関する省令(耐用年数表)を確認すると、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数が記載されている。その中の最長期間である「50年」という数字が、そのまま寿命の目安として転用されている。
かつては建物の寿命を精密に測定する方法がなかったため、あと何年使えるかを客観的に判断することが困難だった。そうした背景もあり、色々な市区町村が「完成後50年」に則って老朽化しているかどうかを判断している。しかし、現在は技術の発展により、建物の寿命を正確に知ることが可能だ。
コンクリートの特徴
コンクリートは圧縮する力には強いが、引っ張られる力には弱いという特性を持つ。SRC造やRC造では、コンクリートと鉄筋が一体となって圧縮力を支えている。一方、引っ張られる力に対しては、鉄筋が主に支えている。つまり、こうした構造物においては「鉄筋」が命になる。鉄筋が錆びれば強度は一気に低下し、引張力が加わった際に崩壊を招く恐れがある。だからこそ、鉄筋の状態を把握するための老朽化調査が必要不可欠だ。
「中性化調査」「はつり出し評価」について
調査手法は多岐にわたるが、中野サンプラザにおいて特に重要なのは「中性化調査」と「はつり出し評価」である。本来、コンクリートは強アルカリ性だが、外気中の二酸化炭素が内部に浸透して中性化が進行すると、内部が酸性に近づき、鉄筋が錆びやすくなる。中性化の度合いを調べるのが「中性化調査」だ。抜き出したコンクリートにフェノールフタレイン溶液を軽くかけると、アルカリ性を保っている(問題のない)箇所は20秒ほどでピンク色に変化するが、中性化している箇所は無色のままである。これにより、表面からどの程度の深さまでアルカリ性が失われているかを視覚的に判断できる。中性化が進行し、鉄筋の10%から20%が腐食した状態を「限界状態」と呼ぶ。この状態に達していれば、改修はおろかリノベーションも不可能になる。
「はつり出し評価」とは、コンクリートの一部を物理的に除去し、鉄筋の錆の状態を直接目視で確認する方法だ。
老朽化調査は必要
中野区は、中野サンプラザが「老朽化している」と主張しているが、こうした中性化調査やはつり出し評価を実際に行っているわけではない。単に「50年」という大まかな目安を根拠に、寿命だと結論づけているに過ぎないのだ。本当の寿命がきているかどうかは、調査しなければ判断できない。中性化が進んでおらず、鉄筋が極めて健全な状態である可能性も十分にある。仮に中性化が限界状態まで進んでいるのであれば、いつ倒壊してもおかしくない極めて危険な状況にある。解体を選択するにせよ、改修を選択するにせよ、次のアクションをいつまでに行わなければならないのかを逆算して考えるために、老朽化調査によって「余寿命」を把握することは不可欠である。すぐに解体することが確定しているのならまだしも、余寿命を把握しないまま放置し続けるのはあまりに無責任で危険だ。「老朽化調査は不要」という考え方は、人命よりも金を優先していると受け取られても仕方がない。
原状、中野サンプラザの跡地を売却するという案は完全に消滅していない。仮に売却されれば、最終的に外国資本の手に渡ることは目に見えている。そうなると、中野区のシンボルが外国資本によってコントロールされることになる。区内最大の収益を生み出すポテンシャルを持つ場所を、外国資本に明け渡すことは断じて容認できない。私自身、衆議院選挙の時から一貫して、外国人や外国資本への土地売買を規制すべきだと訴えてきた。中野サンプラザの跡地が外国資本に買われるような事態は、これまで守り続けてきた私自身の信念に真っ向から反するものである。
「一度売れば二度と戻らない」重要な土地だからこそ、条例制定を含め、周辺エリアを保護する具体的な対策を検討すべきだ。
令和7年11月、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりに関する意見交換会と説明会が開催された。当時、多くの区議会議員が委員会の中で「区長自らも説明会に参加すべきではないか」と苦言を呈していた。しかし、結局11月に行われた意見交換会や説明会に、現区長が姿を見せることはなかった。参加者の話によれば、それ以前の説明会などにも区長はほとんど参加していなかったようだ。
現在、中野サンプラザの再整備計画が停滞している理由として「工事費の高騰」などが挙げられている。しかし、区長が自ら説明の場に立たず、区民との対話を軽視し続けてきたことも、計画が足踏みしている大きな原因の一つではないかと感じる。区長がようやく参加したのは、今年2月のタウンミーティングであった。しかし、後の議会では議員から「区の考えを追認させるだけの場であり、区民の意見を聴く姿勢が見られない内容だった」との指摘も上がっている。
中野サンプラザを巡っては多種多様な意見があり、最終的に何らかの決断を下す際、反映しきれない区民の意見も出てくるだろう。どのような選択をしても、一定の反発は避けられないはずだ。だからこそ、たとえ厳しい場であっても逃げ出さず、真摯に区民と向き合うべきである。区民のための最善策を考え、時に批判を受ける覚悟を持って、区長は説明会に自ら出席すべきだ。その真摯な姿勢こそが、今最も重要であると考えている。
令和8年2月26日の中野区議会予算特別委員会において、重要な質疑がなされた。区議会議員が「中野サンプラザの当時の売上げ帳簿のような会計に関わる資料を閲覧可能か」と理事者に確認したところ、「当時の運営会社である株式会社中野サンプラザが所有していた売上げの帳簿について、会社の解散、清算に伴い、会社法にのっとり保管手続を行っているが、既に会社が存在しないことから、区が法的に管理把握する立場にはないもの」と回答し、事実上、答弁を濁し続けたのである。
今後の運営方針を策定する上で、過去の収支データは間違いなく不可欠な資料である。それを「立場にない」として開示を拒む姿勢は、公にできない不都合な理由があるのではないかと邪推してしまう。
中野サンプラザの適正な運営、不透明な利権を排除するためには、区長の権限において可能な限り当時の詳細資料を公表すべきだ。透明性の確保こそが、区民の信頼を取り戻すための第一歩である。
令和7年8月27日の中野区議会にて、「中野サンプラザ・プロジェクションマッピング導入を模索する」という資料が報告された。都庁のプロジェクションマッピングに批判が殺到している中、中野サンプラザでも実施の可能性があることを当時傍聴席で知った時の驚きは今でも隠せない。
「これは良くない」と直感し、議会傍聴後すぐに計画への批判動画やショート動画を投稿した。その数日後、中野区は計画の検討を取りやめたようで、現在はプロジェクションマッピングの計画はない。しかし、区長が変われば導入を再度検討する可能性が皆無とは言えない。都庁のプロジェクションマッピング運営費用は、2023年と2024年の2年間で16億5000万円に上る。中野サンプラザでの実施例でも、2024年3月22日から24日のわずか3日間で5300万円もの費用が投じられた。
これを常設化すれば区民にとって多大な負担となることは必然であり、検討する必要すらないと考える。
中野サンプラザの用途を巡っては、今後も多種多様な考えや意見が数多く出されるだろう。相反する選択肢の中で決断を迫られ、最適解を一つに絞り込むことが困難な局面においては、その施設が「挑戦者」を生み出す場所となり得るか、という視点を判断基準に含めたい。
例えば、一般に貸出可能な映画館を設置し、個人やグループによる自主制作映画の上映を可能にするなどの施策が考えられる。単に既存のエンターテインメントを享受する場にとどまらず、新たな才能が世に出るための「挑戦」を後押しする仕組みだ。
多様な意見が対立したとき、「次世代の挑戦を促すのはどちらか」という未来志向の評価軸も持てたらいいと考えている。
「採算性がどれだけ良くても住宅としての使われ方には反対」「デジタルサイネージ案」など順次追記します。
石倉の考えを語る
現中野区の考えに反論
設計図がないから再整備不可能は嘘
現中野区の方針
区民のための運営を
土地を売却されたら
稼働時の資料を確認できない
プロジェクションマッピング反対
老朽化していると言われ始めた理由
コンクリートの特徴
中性化調査について
設計図がないから再整備が不可能は嘘
説明会について
主用途を住宅にした場合